しかしライシャワー博士の言葉の最初についている条件に落とし穴がある。実のところ日本人の大多数は明断簡潔かつ論理的に語ろうなどとは先ず思わないのである。日本人同士でしゃべるときはもちろん外国人と話すときにはなおさら明確で論理的な言葉づかいを避け間接的で唆味な言い方をする。それは基本的に考えを伝え合うというよりは相手の気分や態度をそれとなく探るための会話なのである。日本人の考えからするとあからさまにものを言っていたのでは身動きがとれないことになりその結果無用の対立を招くというたいへん不都合なことになるのだ。これはすべての日本人が怖れることである。したがってあけすけに話すことは普通日本人たちを因らせることになる。そのため英語のうまい国弘正雄国際商科大学教授はこの現象について書いたときわざわざ脚注をつけてこのことをはっきりと書くだけで不安な気分になると告白している。日本人は心の底ではできることなら言葉によるはまったくなしですませたいと思っているのだ。日本1語には口はわざわいのもとといったたぐいの諺がたくさんある。日本はらげい人同士のは腹芸とよばれるものに頼る部分が大きい。
もっと楽なのは自分の苦境を冗談のタネにすることだった。たとえば「離婚の弁護士費用は会社が払うべきだ」と軽口をたたちょうどそのとき仲間がつぎつぎにバグを持ちこんできた。自分のコードのものですらないバグばかりだ。ひとの傷口に塩をぬるようなものだ。笑っていなければ涙がでできてしまう状態だったのだ。もちろんバグにかまなぞっていられない。前の日夫と離婚手続きについて話し合っていた。その前の夜悪夢にうなされた。他のプログラマーのバグの処理が遅いという評価を上司から手渡されるータで154夢だったグループ取りの仕事をだれ日キがら大切な機能を保てるようにするユーザープたことにリーダーにけをもとめた。リーダーがもうひとつのグループのクダーにリーノ又かせるべきだと言ってくれた。これではっとに一息つけた。ロンはユの書き直しをはじめた。レジストだれよりもどんなこと翌十一月十八リーとの連携をとりなザープロファイルよりものだ。それから十八日間おしイルがいと仕事の質が高かっでいるなかでく思えた。
ワルシャワの町にソ連が建てた悪評高い文化科学宮殿とよく似ていてひたすらに大きい。ここがソフィアでの日本大使館主催の講演会場である。すいか正面玄関を入ると目つきの鋭い痩せた男たちが身分証明書を見せろと誰何してきた。そのくせ脇の入口は出入り自由なのだ。実にさまざまな人が赤いじゅうたんの宮殿内に入ったり大きな荷物を持って出たり夕方の6時だというのに賑やかなことである。交際クラブえてくれた大柄の宮殿館長が上品な英語できつきまで1階と2階で商品見本市をやってましてねと言う。かつては女物の流行服だのジーンズをこの神聖な場所で取り引きしたり小売りしたりするなんて考えられないことでした。しかし政府から交際クラブ文の運営費も来なくなったので自給自足でやっていく以外にないのです。背に腹はかえられません。場所を貸してやって場所代を稼いでいるのですよと一口う。ゆっくり上下する大きな交際クラブで上階にあがるとさすがに重厚豪華なつくりの会場フロアで同時通訳のブスなども完備している。開会1時間も前から地もとソフィアの大学生だけでなく高校生たちが何10人も会場に入って席とりをしている。
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の精神状態が不安定だった理由のひとつに悪癖として定着した賭博があった。とりわけ飲み友達との賭け交際クラブにうつつを抜かしすぎて家計を圧迫しそのことにみずから心を痛めていた。そうしたストレスが積み重なって高所恐怖症という神経症のひとつが発症するに至ったと考えられた。神経症の原因は一見無関係なところに存在しているものなのだ。嵯峨はきいた。で高いところはどうです。慣れてきましたかきやたつええ脚立ぐらいは昇れるようになりましたよ。それと2階の窓からの眺めも悪い気しなくなってきました。ただ高層ビルの展望エレベーターっていうんですかあれはまだ無理をしないでくださいね。急にではなく徐々に慣らしていかなきゃなりません。じゃきょうも催眠療法のイメージ誘導でメンタルリハーサルをしていきましょうお願いしますララを振った。どうぞおかげくださいはい。土屋は軽く頭をさげて恐縮しながら腰をおろした。いつものようにネクタイを緩めて楽にお座りになってください嵯峨は土屋の前に立った